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マッサージ −おまけ
涼介のアドバイスに納得した啓介はFDのボンネットを閉め、兄を振り返った。
「なぁアニキ」
「なんだ」
蝉がうるさいのか、涼介は庭木を軽く睨んでいる。
「オレがマッサージしてくれって頼んでもいっつも『そんな暇はない』って片付けるくせにさ、藤原にはしてあげる訳なんだ・・・へぇ〜」
意味深な啓介の言葉に、涼介の形の良い眉が顰められた。
「何が望みだ?」
啓介にあの光景を目撃されてから、いつ強請られるかと涼介は待ち構えていたのだ。弱みを握って利用しないような、可愛い弟ではない。啓介は勝ち誇った笑顔を浮かべている。
「モノ分かりいいじゃん、アニキ」
「啓介、早く言え」
「今朝のモーニングで大負けしちゃってさ〜、早くも小遣いがピンチなんだよな〜」
朝からどこに行っていたのかと思えばパチンコとは。呆れて溜め息しか出ない。
「資金援助してくんない?」
「・・・明日まで待て」
「オレ、これから出掛けるんだぜ。家にいてもいいって言うなら別だけど」
せっかく拓海と二人きりになれたのにこれ以上邪魔をされるのはゴメンだ。啓介の策略にはまるのは不本意だが、ここは黙って条件を呑むしかなさそうだ。
「ちょっと待ってろ」
「あ、多めにヨロシク〜」
調子に乗った啓介に無言の返事をすると、涼介は足早にガレージを後にした。
「藤原?」
自室に戻った涼介は目を見開いた。
拓海はTシャツを着直してベッドの上に横たわり、スヤスヤと寝息をたてていたのだ。エアコンの風が冷たいのか、肌掛けを腹に掛けている。
「藤原、おい、寝るなよ」
声を掛け、体を揺すってみるが拓海はピクリとも反応しない。この様子では当分起きることはないだろう。
思わず深い溜め息を漏らしてしまう。
拓海から肩こりのことを聞いて家に招く計画を立て、あわよくば関係を深めたいと思っていた。事実、この2回で親交は深まったと言えるだろう。
涼介は思いっきり不機嫌だった。
(せっかくのチャンスだったのに・・・)
マッサージによって拓海が快感を追っていたのは涼介も気付いていた。勿論、マッサージと言いつつ拓海の性感帯を攻めていたのはわざとだ。あと少しであられもない拓海の姿を見れたかもしれない。
「啓介のヤツ・・・」
こうなったら素直に従うのは癪に障る。邪魔をされた腹いせに仕返しをしてやろうと、涼介は頭をフル回転させるのだった。
END
啓介には2人を温かい目で見守ってもらいたいです。
でも、ちょっと苦戦する涼介を書くのが隙なので、ついちょっとギャグになっちゃいました。
シリアスを読みたい方には申し訳ないです。
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